RIETAN-FPに関するメモ
解析全般
初期のパラメータは収束の安定性や正確性に直結するため非常に重要になってくる。
特に格子定数があっていないとプロファイルパラメータの精密化の段階で躓いてしまう原因になります。
自分で最小二乗プログラムを作成し、格子定数を精密化するか、格子定数決定用のプログラムをダウンロードして正確な格子定数の値を決定すべきです。
特に元素を置換したようなサンプルだと格子定数が変化する可能性が高いので要注意です。 格子定数であれば線形最小二乗で求められるので比較的容易にプログラムを作成できます。いつか余裕のある時にその辺の記事もかけるといいです。フィッティングが良好かグラフを拡大して確認することをお勧めする。
解析をする際にステップごとに回折パターンや残差の比較を行い解析の手ごたえを感じることは非常に重要であると考えています。
しかし、描画された回折パターンを自由に拡大・縮小することが困難だと精神衛生上よろしくありません。
従ってインタラクティブなグラフィックソフトを使用することが賢明です。NPAT = 1
で計算を行い、秀丸のPlot
を実行するとPDF化されたグラフが描画されますがあまり好ましくは思いません。
そんな時はNPAT=2
としたうえで、RIETVIEWで描画するといいでしょう。ただし秀丸支援環境下でこれを実行するにはPlot.mac
のgtool
を3に変更する必要があります。
線形制約条件に付いて
- 複数個のパラメータを同じ値に固定したいとき
例えばAl1, Al2, Al3, Al4の等方性原子変異パラメータを同じ値に固定したいときは、一つのIDを1
にして他は2
にする。
つまり、条件式にはID = 1
のパラメータを右辺に書いて他のID = 2
は左辺に書く。
# 構造パラメータ Al1 ........ 00001 Al2 ........ 00002 Al3 ........ 00002 Al4 ........ 00002 # 線形制約条件 A(Al2, B) = A(Al1, B); A(Al3, B) = A(Al1, B); A(Al4, B) = A(Al1, B)
ちなみに等方性原子変異パラメータについては以下の5節を参考にするといい。 Know-how and Techniques of Rietveld Analysis
自動解析するときの覚書
いくら自動化に頼ろうとも、逐次確認を怠らない方が身のためだと考えます。
私は10サンプルを20~30stepで軽く解析した際にいくつかR因子が大きくなってしまったことがあります。
これは途中で確認していれば回避できたようなミスで余計な手間を増やしてしまいました。
今のところRIETANを自動解析するような有力なソフトはないようですが、今後自動化が進もうとも完全に手放しにするのは賢明ではなさそうです。
余談ですが、天体撮影においてもいくら自動化が進もうとも、撮影機材から目を離してのんびり車のなかで寝ていたりすると思いっきりガイドがあれて碌な写真しか撮れていなかったりします。まあ、何が言いたいかというと、自分の仕事はちゃんと面倒をかけよう。。。
多相解析の時
事前に各サンプルでバックグラウンドと尺度因子、格子定数を合わせて精密化して、R因子が大きくないか確認する。
特に相分率が主相以外が極端に少ない場合は確認しないと局所解にまっしぐらになることがあるので注意。
R因子が大きい時は主相のU, V, Wを合わせてみる。順番はW⇒U, Vとする。
これで下がらない場合はAsymmetry parametersも合わせてみる。最初の1, 2つ合わせるだけで大幅に落ちることもある
また格子定数がずれているようであれば、まずはDICVOLなどを用いて格子定数を合わせる。
※あとでDICVOLを用いた格子定数の合わせ方のリンクを貼っておく
プロファイル, 格子定数を精密化しても合わない場合は格子定数の精密化を解除してシフト因子を精密化してみる。 シフト因子はその他のパラメータと相関が強いため扱いには注意が必要だが少しは下がるだろう。 ある程度フィッティングがあえば安定して解析が進むはず。