韜晦日記

韜晦日記

Rietveldよりもプログラミングメインになりつつある

Rietveld解析初心者による備忘録とつぶやき

「君の名は。」RADWIMPS, 東京フィルコンサートに参戦!!

どうも。お久しぶりです。先月は学会発表等があり、ブログの更新が疎かになっていました。というか、先月は1回しか更新していません。これには自分でも驚きです。
もう、いっそのこと月刊WebMagazine韜晦とでも題した方が聞えがいいのではないでしょうか。
ところでこの記事、つらつら書いていたら6000字程度になりました。
最初は劇伴全てに感想なり解説を付けようと思ったのですが、さすがにそれはやめました。語彙力ポイントが0です。。
適当に読み飛ばして、どうぞお楽しみ下さい。(全6092 字/ 読了 約10分)

ことのおこり

新海誠の大ファンである友人石川は、昨年大ヒットを記録した「君の名は。」のBlu-ray特典をゲットしたのでありました。その特典は映画の音楽を担当したRADWIMPSと東京フィルがコラボするコンサートであります。
幸運なことに彼には彼女はいません。工学部生の宿命でしょうか。もし彼が愛の遍歴者であれば、その座を奪われていたことでしょう。
そんな彼に誘われて「君の名は。」オーケストラコンサートへ東京に繰り出すのであります。

君の名は。」 @ 東京国際フォーラム

コンサート前、プログラムも何も分かっておりません。そんなわけで、当初は映像と共に演奏し、作曲や収録の苦労話や解説を挟みながら進行すると予想していました。

東京国際フォーラムは東京駅の真上(京葉線)にある、交通の便抜群のホールであります()。
入場開始は18:00時、既にホールの前には長蛇の列が出来上がっております。これは入場まで時間がかかるな..,,,,,なんて思っていましたが、長蛇の列はスムーズに進みあっという間に入場出来ました。さすが東京。

ホールに入ると正面に人だかり。瀧くんと三葉が背中合わせしたパネルが展示されているのです。みんな列をなして撮影をしております。
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我々もそそくさと撮影してホールの座席へと向かいます。が、直前に茶店で迂闊にもカモミールティを頂いた私は、強烈な利尿作用を体感することになります。開演5分前、座席に座る前にトイレに行ったにも関わらず、尿意を催します。これはやばいなあ。急いでトイレに向かって用を済ませます。

トイレから戻ると、さっきまで席を探してウロウロしていた多くのお客さんは着席し、開演の時を待っております。こうして改めて見ると5000人超を動員できるこのAホール、とてつもなく巨大な空間であります。ステージからホームラン競争でも出来そうです。

そして開演のとき、オケの奏者、RADWIMPSのメンバー、指揮者が入場し盛大な拍手迎えられます。そしてこのとき、既に膀胱に不安を覚えます...ゴクリ...。

スクリーンには先ほどのパネルと同じ映像が映し出されています。演奏が始まるかと思いきや、画面に突然浮かび上がる"東宝"の文字。
あれ、これはもしや…….

夢灯籠

一瞬の暗転、そして風を切る音と共に、細くたなびくように尾を引く彗星が映し出されます。冒頭の三葉と瀧による語り部が終わるころ、指揮者の栗田さんがタクトを優しく振り上げます。
最初の挿入歌、RADWIMPSの"夢灯籠"です。
Aメロ、心の中に語り掛けてくるような野田さん繊細な息遣い、強張った声が鮮明に聴こえてきます。

あーこれは全編フルで行くのか!!まじか!!RADとオケのコラボじゃないんかい!!映画も一緒とか贅沢すぎるぜ。序盤から鳥肌スタンディングオベーション

「この命果てる場所に何かがあるって いつも言い張っていた」の直後、一瞬の間奏で控えめにRADを支えていたオケが前に出てきます(音がね)。ヴァイオリンとギターが競り合うように、しかし嫌味のない絶妙なバランスでフィニッシュ。この間2分10秒、一瞬にして物語の世界観に引き込まれてゆきます。

余談1

ご存知の通り、映画「君の名は。」は、その写実的な作画で定評がある新海誠が監督です。前作の「言の葉の庭」では現実をトレースしたような忠実な作画が圧巻であり、本作でも更に磨きがかかっております。
しかし、新海誠映画の凄さというのはこれだけでは有りません。
劇中に流れる挿入歌には、大変な拘りが感じられます。
野田さんの作曲した曲を聴いて映画に修正を加えた程ですから、それぞれのシーンと音楽の親和性は抜群のものとなっております。

三葉の通学

オープニングとはうって変わり、オケがメインの挿入歌となります。主旋律を奏でるヴァイオリンと副旋律にアコギが登場します、軽やかな長調を奏でるヴァイオリンは、次第にフルートへとその旋律を受け渡します。フルートの奏者は2人おり(記憶が曖昧ですが)、とても甲高く美しいメロディを奏でていました。

糸守高校

ピアノとヴァイオリンのデュエットです。いや、フルート(?)もいましたね。軽妙なスタッカート, 短前打音と共にコロコロと転がるようなピアノと、ピッツィカートで弾けるヴァイオリンの伴奏から入り、ホールに響くなだらかなヴァイオリンの音色が心地よかったです。伴奏が可愛らしく、なんとなく呑気でお茶目な名取早耶香を思わせる曲に感じます。作中でも丁度、早耶香の台詞の時に流れていましたよね。

はじめての東京

ピアノと弦楽器による挿入歌です。なんだか冒頭は"はじめての東京"というより、川のせせらぎの様なキラキラした描写が思い起こされます。弦楽器がいくつものパートに分かれ折り重なるように奏でられるメロディは、さながら雪解けのころの春のまばゆい芽吹きを感じます。主観なので伝わりにくいかもしれませんね。
序盤は東京に出るまでの不安や期待、憧れ。様々な感情が入り乱れて重なる感情を表現しているようにも取れます。
劇中では川の代わりにビル群が太陽光に反射しキラキラしていました。笑
そして、終盤のチェロとコンバスに支えられた膨らみを持つメロディは、思わず何かを見上げたくなりますね。きっと初めて東京に出たときの感覚はここで表現されているのかもしれません。

憧れのカフェ

一旦割愛します。
後日また書くと思います。

奥山先輩のテーマ

バイトでスカートを切られた奥山先輩の為に、刺繍を施す瀧くんのシーンで流れます。アップテンポで楽しそうな前の曲"憧れのカフェ"とは一転し、非常に落ち着いた優しいアコースティクメロディになっています。この辺の曲は主にギター奏者3人が舞台の左前で演奏していました。

ふたりの異変

ふたりの入れ替わりをお互い気づき始めるところで流れる挿入歌です。曲自体は3つのパートに分かれているように感じます。瀧の異変、三葉の異変、入れ替わりに対する気づき。こんな感じでしょうか。
"瀧の異変"から、"三葉の異変"に変わるときにの4分休符が好きです。あの一拍休む瞬間、これまで活発的だったオケが乱れる事無く止まるのには感動します。指揮者である栗田さんもこの曲は結構ノリノリで振っていました。
ちなみに、"三葉の異変"から"入れ替わりに対する気づき"は後半に転調する部分です。このパートは映画の進行と重なっているので分かりやすいと思います。パートとパートが明確に分かれているため映画と音楽の親和性をより高めているのではないでしょうか。

前前前世

この物語の第二のオープニングテーマです。劇場版では瀧と三葉の台詞の部分は音量が絞られていましたが、コンサートではバンバン流れます。野田さんもこの曲は慣れ慣れなのでしょうか、夢灯籠とは打って変わり完成度が非常に高かったです。
※別に夢灯籠が悪いという旨ではありません。

はあ、疲れました。なんでこんな長くなってんだ 笑。

飛ばします。

その後、"デート", "秋祭り", と続き、一見楽しそうな曲調を思い浮かべますが、落ち着いており、何かもの悲しさ、緊迫を感じる挿入歌となっています。次の曲の"記憶を呼び起こす瀧"では決定的になります。
突然入れ替わりが起きなくなったことに対する不安でしょうか、自室に籠り、三葉との入れ替わりの時に見た情景を一心不乱に描きます。
本来楽しそうに思える"デート""秋祭り"を、こういった曲にすることで、糸守が壊滅する出来事の伏線となっているのでしょうか。


作戦会議

口噛み酒を飲んで入れ替わりに成功した瀧が、住民を避難させるためにてっしーと作戦会議をするときの挿入歌です。バンドサウンドが前面に押し出されており、ドラム、ギター、ピアノが速いテンポでテクニカルな伴奏をしているように思えます。
ピアノ奏者は頭を前後左右に揺らし、ノリノリです。
因みに私は三葉の口噛み酒を飲みたくてウズウズです。嘘です。

三葉のテーマ

主題は"デート"と同じはずです。ピアノのもの悲しい旋律にヴァイオリンとチェロが寄り添う感じです。"デート"では中盤、ピアノが少し明るくなり、オーボエ(?)の伴奏も入りますが、"三葉のテーマ"では有りません。終始少し不安とも悲壮ともとれるようなメロディでしたね。この挿入歌が流れているとき、瀧を探しに東京にでた三葉は瀧と会うことができましたが、瀧は三葉のことを知りません。このときの三葉の表情、可愛いですよね。どこでも可愛いんですけどね。ちなみに、この後私の膀胱は限界突破120%を迎えます。

見えないふたり, かたわれ時

ここからが最高に泣けるシーンです。お互い御神体に入れ替わりの謎があると気づいた二人は、御神体の近くでついに二人が再開します。
かたわれ時は夢灯籠のインストバージョンといったところでしょうか。ここで夢灯籠の歌詞で提示された伏線が回収されます。同時に、この後への伏線と続くのですが.......
もはや、コンサートのレビューですらなくなってきました。このころになると、感動と尿意が入り交じり非常に複雑な感情になっていました。でも、絶対にトイレには行きたくない。今席を立ったら勿体無さすぎるし、大顰蹙だ。そうは思っても前を見ていると、席を立つ人がちらほらいるんですよね。見るたびに心が折れそうになっていました。
脂汗、冷や汗。

スパークル

おそらく、この曲がコノコンサート最大の盛り上がりポイントなのではないかと私は思います。9分もの大作であり、歌⇒オケ⇒歌で構成されているので生演奏で聴くのに持って来いです。
御神体へ再び”でピアノの旋律が繰り返され疾走感にあふれていましたが、スパークルでも同じです。しかしスパークルでのピアノの旋律はとても軽やかでみずみずしいです。この疾走感が、糸守町壊滅へ秒読みがはじまったことをより引き立てます。そして、野田さんの甲高い「ア―――」から栗田さんが腕を高く振り上げ、オーケストラ。もう感動で鳥肌が止まりません。曲だけでも感涙必至なのに、ここに新海誠の映像美。圧倒的なストーリー展開。会場中が涙であふれます。
彗星が分離し始める瞬間の描写ではニュース画面が映し出されております。アナウンサーの興奮が抑えられない話し方にも臨場感、現実離れした美しさを感じます。

彗星により壊滅秒読みの糸守町、緊迫感と悲壮感、焦り、サイレン。――
2つに割れる美しい彗星、オーケストラとRADWIMPSによる美しい生演奏。――

全く異なる感情が一度に沸き上がり、危機感と美しさに心を全力で揺さぶられます。

私の語彙力ではこの感動を表現するのには限界があるようです。ツライ (笑)。スパークルを聴きながら読んでください。笑

デート2

就活中の瀧と奥山先輩の場面です。

なんでもないや

打楽器によって印象付けられる冒頭から、「もう少しだけでいい、あと少しだけでいい。」と野田さんが歌いだします。大人になった三葉と瀧は見事に再開、下からパンしてタイトル。デート2で落ち着きを取り戻した会場は再び感涙の渦となります。私としては、およそ1時間半、カモミールティの脅威に触れていたので、野田さんの「もう少しだけでいい、あと少しだけでいい。」が非常に心に来ました。あと少しでトイレに行ける…。ほんと、台無しですよ。まあ、こっからも長いんですよね。そう、エンドロールがまだあります。
それにしても、「君の名は。-your name.-」と表示される一瞬の間の後の野田さんの歌、ほんと身震いするほど透き通っておりました。はあ、感動で溜息がでます。こんなにも幸せな時間が終わってしまうなんて…。

なんでもないや[エンドロール]

当然、エンドロールも生演奏です。なにが当然だよ。至れり尽くせりすぎる。これ、自分が指揮者だったら感動してタクトを振るなんて状況ではなかったです。栗田さんはしっかり振っていた。癖のない指揮の振り方には嫌味が有りません。たまに、曲にクッション性を持たせる瞬間に腰がクネッて曲がるんですよね。曲が終わり、タクトを下した瞬間、いやフライング拍手も有りました。会場は万雷の拍手に会場は包まれます。私もこれでもかって程おおきな拍手を送りました。この会場にいた5000人は紛れもなく、ここまで演奏してきたRADWIMPS,東京フィル,そして新海誠に称賛の拍手を送ります。
クラシック好きのひとにとっては、"フライング拍手, フライングブラボー"はマナーが悪いように思われがちです。しかし、最後の1音が消えるまで待ちきれないほど、観客を魅了し興奮させる演奏というのは確かに存在します。今がまさにその時であります。
みなさん。盛大な拍手を。

アンコールと感想

ということで、この割れんばかりの拍手の時に、私はそそくさとトイレに駆け込みます。これまで体験したことのない我慢から解放され、人知を超えた量のアレが流れ出ます。こんなにも人間は蓄えることができるのかよ。びっくり。


そうして席に急いで戻ります。きっとアンコールがあるから。

席に戻ってみると、ちょうどアンコールに応じて指揮者と野田さんが登場しているところでした。
アンコールと言えば"前前前世"です。しかもみんなで立ってライブのようにしましょうと野田さんが仰るではありませんか。
全員で立って"前前前世"に乗せて手拍子しながら歌います。会場のボルテージは最高潮に上がります!
君の名は。」のコンサートはロックバンド, クラシックのコラボレーションであります。、
RADWIMPSが好きな人、クラシックや東京フィルが好きな人、あるいは映画やアニメが好きな人もいたかもしれません。三者三様の観客が一堂に会して、一体になります。やっぱり音楽は人々を引き付け、繋いでくれる魔力を秘めているものと感じるのでありました。

私はクラシックが大好きです。しかし、同年代にクラシック好きの方はなかなかいらっしゃいません。何故でしょうか。でも、こういった機会を通じてクラシック好きな人が一人でも多く増えればいいな。きっと、RADWIMPSが好きな人、映画が好きな人も同じように思っていることと感じます。

おしまい。